スカンクが敵に襲われた時、強烈な臭いを放って敵を怯ませた隙に逃げるのを知っていますか?
実はこれ、お尻の近くにある「肛門腺」という部位から臭いの分泌液を出しています!!
犬や猫にも同じところに「肛門腺」があるのですよ。(人にはありません…!)
犬猫は、自分の縄張りを示すために排便するときに肛門腺を一緒に分泌することがあります。犬同士の挨拶のときにお尻を嗅ぎあいっこするときも、この肛門腺の臭いで認識しているそうです。このように犬猫にとって、肛門腺は他者とのコミュニケーションのためにも必要なツールです。
肛門腺はお尻から見て写真のような場所にあります。時計に見立てると4時と8時の方角にありますよ。この位置に「肛門嚢」という袋状の構造物があり、その中に分泌液が溜められています。
肛門腺が溜まりすぎる!?
犬猫の中には、自力では肛門腺を出しづらい子がいます。肥満や高齢、小型犬などの子にそういった傾向がありますが、そうでなくても自力で肛門腺が出せずにどんどん溜まっていく子もいます。
肛門腺が溜まると不快感を示す子がいるため、ワンちゃんネコちゃんに次のようなそぶりが見られたら、一度動物病院に連れてきてくださいね。
お尻を舐める、地面にこすりつける
自分の尻尾をくるくると追いかける
排便のときにキャンと鳴く
お尻あたりを触られるのを嫌がる
また、肛門嚢の開口部が何らかの原因で塞がってしまったり、肛門嚢内に細菌感染が起こったりすると、炎症により肛門嚢炎となります。
肛門嚢炎が悪化すると、肛門嚢に膿がたまり、破裂してしまうこともあります。
肛門嚢炎・肛門嚢破裂になってしまったら
肛門腺が溜まって自力で出せない場合は、絞ることでだしてあげます。細菌感染が起きていて肛門嚢炎となっている場合、必要に応じて抗生物質などの投薬が必要となります。また、肛門嚢が破裂している場合には、洗浄や消毒を行い、抗生物質を投与し、皮膚が再生するように治療していきます。中には治療をして良くなっても、何度も肛門嚢破裂を繰り返してしまう子がいます。その場合は、肛門嚢自体を手術で摘出することを検討します。
ただの肛門嚢炎じゃないことも!
多くの場合は、肛門線の分泌物が溜まりすぎたり、細菌感染がきっかけで肛門嚢炎・肛門嚢破裂が起こりますが、まれにその背景に腫瘍(肛門嚢腺癌)が潜んでいることもあります。肛門嚢腺癌は転移が起こりやすい腫瘍とされており、外科手術・抗がん剤・放射線療法など治療法が変わってくるため、肛門嚢炎・肛門嚢破裂の治療に対する反応を慎重に経過を見ていく必要があります。
予防のためにできること
これまでに肛門嚢炎・肛門嚢破裂を起こしたことがあるワンちゃんネコちゃんは、繰り返さないように動物病院で定期的に肛門腺をチェックしてもらうことをおすすめします!
また、先ほど挙げたように、お尻付近を気にするそぶりがある場合は早めに連れてきてあげてください。
ネコちゃんの場合、お尻まわりを集中的にグルーミングしているだけだと思っていたら肛門嚢破裂だった!ということもあります。
さいごに
もし、お尻をしきりに舐めたり地面にこすり付けたりしている場合は、肛門腺が溜まってムズムズ、気持ちが悪いのかもしれません。動物病院で絞ることができるので、ぜひ連れてきてあげてください。