咳と聞くと、どこか体調が悪いのかな?と思いませんか?
咳=異物に対して起こる防御反応で、体にとって大切な反応です。
例えば食事中に空気の通り道である気管へ食べ物が入りそうになった場合、とっさに咳がでますよね。もし食べ物がそのまま気管に入ってしまうと “誤嚥(ごえん)” となり、肺炎(この肺炎を誤嚥性肺炎といいます)につながってしまうのですが、咳で食べ物を外に出すことでそれを防いでいます。
このように、食事中にむせて出る咳もあれば、風邪をひいたときに出る咳や、夜中のなかなか寝付けない咳まで、色んな咳がありますよね。
ワンちゃんやネコちゃんでも同じです。生理現象でしている咳もあれば、病気が関連して咳をしていることもあります。
ただ、動物は言葉を話さないので、病院にいくべきか、様子をみてよいのか悩みますよね。
そこで今回は、咳がでる病気にはどんなものがあって、どんな咳なら病院に連れてきてもらいたいか、お話します!
咳、くしゃみ、逆くしゃみ
じつは咳だと思っていても咳じゃなかった!!
ということもあります。
くしゃみ、逆くしゃみを咳と間違えることがあり、とくに猫の咳は分かりにくいこともあります。
● くしゃみ
咳とくしゃみのおおよその見分け方は「頭を振っているか」です。人間でも同じですが、くしゃみをする瞬間は頭を振りますよね。咳のときには頭は振りません。
● 逆くしゃみ
逆くしゃみとは、鼻から連続して勢いよく空気を吸い込む呼吸であり、首を伸ばした状態でグーグーと鼻の奥から音が鳴り、発作や呼吸困難のようにも見える現象です 。一見するととても苦しそうにみえるので、初めて見るご家族はびっくりするかもしれませんが慌てなくて大丈夫です。だいたい多くの場合、1分程度でおさまり、そのあとはケロッとしています。
逆くしゃみの特徴は、口を閉じていて、グーグーという音が息を吸っているときに鳴りますので、そこをチェックしてみてください。
それぞれの違いについて、だいたい分かりましたか?下の動画は、逆くしゃみをしているワンちゃんです。
やっぱり分かりにくい…咳のような症状が続いているな…などであれば、一度スマートフォンで動画を撮っておくことをおすすめします!
逆くしゃみは犬で比較的多く、そのなかでも短頭種や、トイプードル、チワワ、ポメラニアンといった小型犬がよくします。
逆くしゃみは原因不明の生理現象であることが多く、仔犬・仔猫のころから症状がみられます。もし中高齢になってからはじめて逆くしゃみをするようになった、頻度がどんどん増えてきている、といった場合は、異物が入っていたり、できものなどの何か原因となる病気が隠れている場合も考えられるので、一度ご相談くださいね。
咳がでる主な病気
咳が出る病気には次のようなものがあります。
■原因が呼吸器にある
喉頭麻痺、気管支炎や肺炎といった感染や炎症、気管虚脱、異物や腫瘍など
■原因が心臓にある
慢性心不全、心臓が大きくなることにより、近くにある気管や気管支を圧迫することで咳が出る
咳でも年齢によって、疑う原因はちがってくる
年齢によってなりやすい病気の種類が違うため、同じ咳でも疑う病気は少し違ってきます。
例えば、生後3か月の仔犬が咳をしている場合(もちろん身体検査や必要に応じて他の検査をしたうえで判断しますが)、ケンネルコフと呼ばれる、ウイルスなどが原因で起こる感染症が多いです。その一方で、シニア犬の咳の場合、心臓や肺に病気が隠れていないかを気にすることが多いです。
また、猫では猫風邪や猫喘息といった病気の症状として咳がみられることが比較的よくあります。
緊急性がありそうな咳
咳と言っても一日に数回軽い咳をしているだけなのか、ずっと咳をしているのかで、早めに対処してあげるべきか変わってきます。食欲や元気はいつも通りだけど、2,3日様子をみても咳が治まらない、くつろいでいる時にも咳をしてなかなか寝付けないなど、ワンちゃんネコちゃんの生活に支障がでているかも…と感じる場合は受診をおすすめします。
また、咳以外にも以下のような症状がある場合はなるべく早く、病院に連れて来てください!
● 咳以外にもチアノーゼになっている(チアノーゼとは舌や唇が青紫色になっていること)
● 咳と一緒に血を吐いた(喀血)
● 咳だけでなくご飯を食べない、ぐったりしている、呼吸が苦しそうなどの他の症状がある
さいごに
先ほども言いましたが、これって咳なの??とよく分からない場合や、もう少し様子をみて病院につれていこうと思っている場合も、タイミングが合えば動画を撮影しておいてもらえると、診断の一助となることが多いです。
ワンちゃんネコちゃんのいつもとは違う、ちょっとした変化に気付けるのは一番近くにいるご家族です。気のせいかな?という程度でも、気になることがあればいつでも相談してくださいね。